ヒト試験レビュー:
もっとも中心になる根拠は、L-テアニン単独介入の睡眠関連試験をまとめたシステマティックレビューです。
このレビューでは、13件の試験、合計550名が対象になっています。内訳は、無作為化比較試験が11件、単群の非盲検試験が2件です。
採用論文のレビューでは、睡眠目的の研究として200〜450mg/日あたりがよく検討されており、成人の健康な睡眠を支える可能性が示されています。
ただし、これは推奨量ではなく、研究で使われた条件の目安です。最適な量や飲むタイミングが確定しているわけではありません。
レビューで良い方向の報告があった指標:
- 1入眠: 寝つきに関わる指標
- 2睡眠維持: 夜間の睡眠維持に関する指標
- 3睡眠効率: 睡眠のまとまりに関する指標
- 4睡眠満足感: 主観的な睡眠の質に関する指標
- 5起床時の回復感: 朝のすっきり感に関する指標
ただし、このレビューには単群試験も含まれています。また、対象者、評価方法、用量、期間にはばらつきがあります。そのため、「L-テアニンは睡眠に必ず効く」とまでは言えません。
併用研究:
GABA 700mg/日とL-テアニン200mg/日を4週間併用した探索的研究では、睡眠問題のある成人19名でPSQIスコアの改善が報告されています。
PSQIは、睡眠の質を評価する質問票です。この研究では、PSQI総得点が補給前より低下し、睡眠回復スコアや睡眠中の心拍数にも一部変化が見られました。
ただし、この研究は単群研究で、プラセボ群や対照群がありません。さらに、L-テアニン単独ではなくGABAとの併用です。そのため、この結果を「L-テアニン単独で睡眠が改善する根拠」として扱うのは強すぎます。
ヒト試験と動物実験を含む併用研究:
クルミ由来ペプチドとL-テアニンの組み合わせを調べた研究では、ヒト試験に加えて、ゼブラフィッシュやマウスを使った実験も行われています。
ヒト試験では、PSQIが7以上の成人で、睡眠時間や主観的な睡眠の質の改善が報告されています。
一方、動物実験では、ゼブラフィッシュで覚醒活動や覚醒時間の低下、マウスで徐波睡眠やデルタ波に関する変化が報告されています。
動物実験の結果は、そのままヒトに当てはまるとは限りません。また、この研究はL-テアニン単独ではなく、クルミ由来ペプチドとの併用です。ストレス関連の睡眠の乱れに対して、併用成分としての可能性を示す材料と考えるのが妥当です。
短期安全性とストレス関連指標:
AlphaWave L-テアニン400mg/日を28日間摂取した研究では、中等度ストレスのある健康成人30名が対象になっています。
この研究では、有害事象は試験終了または追跡で解消し、臨床検査値やバイタルの変化は臨床的に問題ないと判断されています。また、主観的ストレス尺度の低下や、睡眠関連指標、認知課題の一部で変化が報告されています。
ただし、参加者数は30名と小規模です。唾液中コルチゾールでは群間差が明確ではありませんでした。短期的には大きな安全性問題は目立ちにくい可能性がある一方、長期安全性や幅広い人への一般化はまだ慎重に見る必要があります。
効果判断に使いにくい論文:
研究プロトコルは、今後の試験計画であり、効果が確認された論文ではありません。
また、微生物生産や茶葉代謝に関するレビューは、L-テアニンの製造や茶葉中での性質を説明する背景情報としては使えますが、ヒトの睡眠効果を直接示す根拠ではありません。
急性ストレス課題を扱ったRCTでは、L-テアニン200mgがストレス指標に明確な影響を示しませんでした。この研究は睡眠を評価したものではないため、「ストレスが下がるから睡眠に効く」と単純につなげるのは避けたほうがよいです。