肝障害との関連
薬物性肝障害に関するレビューでは、近年、薬だけでなくハーブ・食事サプリメントによる肝障害が増えていると整理されています。
その中で、アシュワガンダは薬物性肝障害につながり得るサプリメントの一例として言及されています。
より具体的には、アシュワガンダ関連肝障害のスコーピングレビューで、13報・25人の症例が整理されています。
このレビューでは、肝障害は使用開始後数週間で起こることが多く、胆汁うっ滞型または混合型の検査パターンが中心でした。
症状としては、黄疸やそう痒がよくみられたとされています。
多くの患者は、アシュワガンダの中止と支持療法により数週間から数か月で回復したとされています。
一方で、急性肝不全により移植を要した1例、既存の肝硬変がある患者で肝機能が悪化し死亡した3例も含まれていました。
ただし、この情報は主に症例報告・症例集積に基づくものです。発生率を示すものではなく、「どれくらいの確率で起こるか」は判断できません。
甲状腺への影響
アシュワガンダと甲状腺に関しては、無痛性甲状腺炎の症例報告があります。
この報告では、47歳の日本人男性がアシュワガンダを始めた約2か月後に、倦怠感、夜間の発熱感、体重減少、下痢、頭痛などを示し、血液検査で甲状腺中毒症が確認されました。
画像検査などから無痛性甲状腺炎と診断され、アシュワガンダの中止後に症状と甲状腺関連マーカーが改善したとされています。
これは単一症例であり、すべての人に起こると考えるべきではありません。
ただし、甲状腺疾患がある人や、甲状腺ホルモンに関わる薬を使用している人では、注意すべきシグナルです。
副腎系・コルチゾールへの影響
アシュワガンダは、ストレスやコルチゾールの文脈で研究されています。
実際に、ストレスや不安が高い健常者を対象にした試験では、アシュワガンダ抽出物により不安スコアや朝の血清コルチゾールが低下し、テストステロンが上昇したと報告されています。
一方で、コルチゾールが下がることは、必ずしもすべての人にとって望ましいとは限りません。
55歳の閉経後女性の症例報告では、約1年以上にわたりアシュワガンダを毎日使用していた背景で、低コルチゾールとACTH刺激試験への反応不十分が確認され、副腎不全が示唆されています。
この症例では、アシュワガンダ中止後も3か月時点でHPA軸の抑制は完全には戻らず、補充療法とモニタリングが継続されたと報告されています。
これも単一症例であり一般化はできませんが、長期・高用量使用や原因不明のホルモン異常がある場合には、サプリ摂取歴を軽視しないほうがよい例です。
消化器症状・免疫過敏・内分泌への懸念
アシュワガンダの潜在的な有害影響を扱った批判的レビューでは、消化器症状、免疫の過敏反応、肝毒性、内分泌系への影響が整理されています。
このレビューでは、特に長期間または過量使用で問題が強調されています。
また、CYP代謝を介した反応性中間体の形成、酸化ストレス、肝毒性の可能性も議論されています。
内分泌系では、甲状腺中毒症や副腎抑制との関連が示唆されています。
ただし、レビューはさまざまな前臨床・臨床データをまとめたものであり、個別のリスクの大きさや頻度まで確定するものではありません。